#724 立ち止まって、お辞儀。
あなたの立ち止まりが、好き。
あなたと、ホテルの廊下を歩いていた。
あなたの歩き方は、ゆっくりなのに、速い。
スピード感があるのに、せかせかしていない。
あなたが、立ち止まった。
止まり方も、軽い。
見ると。
前方から、ご婦人がやって来るのが、見えた。
あなたは、すれ違う時、 歩きながらすれ違うことをしない。
必ず、立ち止まる。
そんなに細い道でなくても。
相手が、通り過ぎてから歩く。
歩く、止まる、歩くのメリハリが、美しい。
歩くダンス。
あなたが、会議室に入る時も、入る前に、立ち止まる。
会議室に入ってから、立ち止まる。
お部屋を出る時も、出てから、振り返って、立ち止まる。
お店に入る時も。
挨拶する時も。
歩きながら、挨拶することはない。
いつも必ず、いったん、立ち止まっている。
その立ち止まりが、あまりにも、自然なので、気づかなかった。
中学1年生の時に、先生に、立ち止まって挨拶するように、叱られたらしい。
あなたの立ち止まりは、自分の美学。
すでに、中学1年生の時に、こだわっていた。
あなたは、中1の時から、あなただった。
あなたの立ち止まりの美しさは、小さな神社で、気づいた。
あなたは、お参りの後、鳥居を出てから、軽やかなターンをして、振り返って、お辞儀をした。
鳥居をくぐる時は、お辞儀をする人は多い。
帰る時は、意外に雑な人が多い。
あなたは、鳥居の隅に寄り、爽やかにお辞儀をした。
あなたには、すべての門が、鳥居なのね。