#727 そんなところも、見られて。
あなたが見ていてくれているところが、好き。
今日は、あなたとディナー。
待ち合わせのレストランに、向かう。
向かう時間が、好き。
もう、ニヤニヤしている。
すれ違った人の目が、大きくなった。
きっと、私がニヤニヤしていたから。
お店に、着いた。
初めてのお店。
こんなところに、こんな建物が。
前から、気になっていた。
入り口が、わからない。
そういう時は、目を閉じる。
目を閉じると、あなたからのテレパシーが、届く。
「壁の一部が、扉になっているよ」
そんな、テレパシーが届いた。
目を開ける。
確かに、壁の一部が扉になっていた。
さっきまで、気づかなかったボタンがあった。
押すと、扉が開いた。
中は、エレベーターになっていた。
エレベーターが動き出した途端、中の電気が消えて、真っ暗になった。
えっ、銀座線。
こんな時に、銀座線を思い出した自分が面白かった。
昔、地下鉄銀座線に乗ると、駅に入る前に、毎回、電気が一瞬消えていた。
そう言えば、いつのまにか、銀座線の電気が消えなくなった。
こんな仕掛けも、あなたは味わせてくれる。
帰りは、あなたと、もう一回、この銀座線エレベーターに乗れる。
それを、思い浮かべるだけで、エレベーターの中で、ニヤニヤした。
あなたは、会う前から、ワクワクさせてくれる。
私は、「銀座線」とつぶやいているところも、きっと見られている。
あなたが、笑ってくれているところも、浮かんだ。
あなたに、見られているところも、快感。