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#730 空に向かって、泳ぐ。

あなたと歩くのが、好き。
あなたと一緒に、歩いている。
「どこに行くんですか」
ちょっと、そこまで。
あなたと歩く時、どこに行くかは、関係ない。
ただ、歩くのが、楽しい。
「歩こうか」
目的地がなく歩くのが、楽しい。
ふだんは、少し歩くだけでも、疲れる。
退屈してしまう。
あなたとだと。
どこまでも、疲れない。
地平線の彼方まで、歩いて行ける気がする。
大昔からずっと、私は、あなたとこうして、歩いていた気がする。
マンモスが、いた時代から。
どれくらい歩くかも、決めていない。
あなたも、どこまで歩くかも、決めていない。
足が、勝手に、向かう方に、向かっている。
面白そうな道を見つけると、入っていく。
魚が、泳いでいる感じ。
そうだ。
あなたは、歩いているのではない。
泳いでいるのだ。
しかも。
あなたは、前に向かって進んでいない。
一見、前に向かって進んでいるように見えるけど。
あなたは、空に向かって、泳いでいる。
地面から、空に向かって、垂直な線を引いた。
あなたは、その水面を、空に向かって泳いでいる。
あなたの前に、水の中が見えた。
あなたの姿勢の良さは、泳ぐ姿勢だった。
私も、あなたと一緒に、空に向かって、泳いでいこう。



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