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#733 方向を変えると、冒険が始まる。

あなたの方向転換が好き。
あなたと一緒に、レストランに向かって歩いていた。
ランチ。
猛暑日だった。
あなたが、誰かに会釈をした。
和食屋さんの前で、白い板前服を着た人が、あなたに会釈をした。
あなたと、板前さんは、同時に笑顔を交わした。
私がお気に入りの和食店。
感染防止のために、お店は休業中。
いかにもマジメなオーナーさんらしい。
そのかわり、ランチタイムのみ、お弁当をしているみたい。
早く、開店できるようになればいいのに。
早く、このお店の焼き鮭が食べたい。
暑い中、大変ですね、という会釈をして、通り過ぎる。
足は、予定していたレストランに向かってる。
今向かっているお店は、ランチタイムは、予約ができない。
ということは。
あなたが、立ち止まった。
そして、くるりと、向きを変えると、もと来た方へ、戻った。
えっ。
さっきの板前さんの前に、向かっていった。
また、バレてしまった。
このお店の焼き魚のお弁当が、食べたいって。
心の声を、聞かれてしまった。
あなたのこういうところが、好き。
あなたが、方向を変える時、そこには必ず、面白い世界が開けている。
方向を変える時が、冒険の始まり。
上質な鮭ののり弁。
割烹の和食店の鮭ののり弁は、さすが上質だった。
おかかも入っていた。
ご飯の底には、刻み海苔もあった。
輪っぱの中に、コンパクトに、多彩なメニューが詰まっていた。
あなたが立ち止まって、方向を変える時、いつもドキドキする。



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