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#742 まるで、予言のように。

あなたの予言が好き。
あなたと、美術館に行った。
駅から、タクシー。
人工の島に、その美術館はあった。
美術館自体が、現代アートだった。
人工の島自体が、現代アートだった。
あなたとでなければ、自分ひとりで、ここにたどり着くことは、なかった。
ちょっとした、SF映画だった。
他の来館者はなし。
受付の女性が、「帰りのタクシーをお呼びしますから、いつでもおっしゃってください」と言った。
この美人も、この美術館が支援する若いアーテイストに違いない。
AIロボットが、「私は、ほめられて伸びるタイプです」と、言っているのが、面白かった。
「屋上も、気持ちいです」
と、受付の美人が言っていたのを思い出した。
あなたは、黙ったまま、屋上へのエレベーターに乗った。
屋上に出ると、また場面が、ガラリと変わった。
目の前に、海が広がった。
海の風が、吹いてきた。
あなたが、小さくつぶやいた。
「水族館」
まるで、神様からの予言の聞いたようなつぶやき。
私は、フライング気味に返事した。
「行くっ」
こんな時、あなたは、言わない。
「やってるかな」「混んでないかな」「タクシー、すぐ来るかな」
受付の美人が、「12,3分で、参ります」。
タクシーが、20秒で来た。
 タクシーも、フライング。
「裏口に、つけますね」
タクシーの運転手さんも、あなたの知り合いなのかと思ってしまう。
着くと、どんびしゃのタイミングで、イルカのショー。
1時間おきに7分だけのショーに、ピッタリ滑り込む。
しかも、この日の最終回だった。
さっきまで、どこにいたんだっけ。
イルカが、あなたにテレパシーを送っているのを、感じた。



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