» page top

#756 香りで、感じて。

あなたと鉄板焼きを味わうのが、好き。
あなたと、鉄板焼のお店。
シェフズテーブルに、案内される。
あなたが、この席を予約してくれた。
いい香りがする。
あっという間に、食べてしまった。
満腹。
それ以上に、満腹。
「お口に、あいましたか」
シェフが、聞いた。
「何が、美味しかったか、シェフに話して」
あなたが、微笑む。
私は、シェフに伝えた。
シェフも、あなたも、笑って聞いてくれた。
「僕はね」
あなたのを、聴きたい。
「1位、生姜焼きの、玉ねぎ」
玉ねぎを焼いた香りが、たまらなかった。
「2位、白ごはん」
これは、生姜焼きにベストマッチだった。
「3位は、豚トロ」
ああ、あれも、とろけた。
あら?
あなたが挙げたものは、他のお客さんのメニューだった。
生姜焼きは、頼んでいない。
ご飯は、秋刀魚と舞茸の炊き込みご飯だった。
豚トロも、他のお客様のポテトサラダにあわせるものだった。
あなたは、他のお客様の料理も、香りで味わっていた。
それを、乗せる白ごはんまで、想像していた。
シェフも、笑って聞いていた。
シェフは、あなたが、想像の中で、味わっているのを、気づいていた。
一番喜んでいたのは、鉄板と、食材だった。
私も、感じていた。



【中谷先生のおすすめ電子書籍TOP3】 紹介記事はこちらからどうぞ