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#758 さっきと、違う魅力が。

あなたの食事前と食事後が、好き。
2時間前。
ホテルのディナーをいただく前のことだった。
私達は、早めにホテルに着いた。
まるで、自宅に帰ったかのように。
あなたは、帽子と鞄とコートを、クロークに預ける。
もちろん、私のも、預けてくれる。
そして、化粧室へ。
あなたが、行ってくれるので、行きやすい。
ラウンジの女性と、にこやかに、あなたが話している。
まだ少し早いので、もう少ししてからとのこと。
この辺の引き方が、紳士的。
決して、粘ったりしない。
お庭に出よう。
前に来た時はなかった、イルミネーションが増えていた。
あなたと、ホテルのお庭を歩く。
アフタヌーンティーに、すぐ入れなくてよかった。
ひょっとして。
すぐに入れたけど、あなたが私をお庭に連れていくために、「もう少し」という時間稼ぎの振りをしてくれたかもしれない。
そして、2時間後。
ベルパーソンに、タクシーを呼んでもらう。
お庭は、食事の前に、見たし。
「もう一度、お庭に行こう」
あなたは、お庭にエスコートしてくれる。
「お庭は、もう見たでしょ」
という野暮な男とは違う。
食事の前のお庭と、食事の後のお庭は、まるで違う。
それを知っている。
実際、全く違った。
食事の前も、食事の後も、お庭を味わえる贅沢。



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