#759 アイコンタクトで、会話。
あなたのアイコンタクトの会話が、好き。
あなたと、ホテルのバーに行った。
静かな、BGMが流れていた。
カウンターの席を、バーテンダーさんに案内される。
ノンアルコールのカクテルが、あなたと私の前に。
色が、キレイ。
今の季節を、感じる。
カウンターに、カップルが私たちの他に、もう一組。
大人のカップル。
テーブル席に、もう一組。
あることに、気づいた。
あなたは、一言も、発していない。
あなたは、バーテンダーさんと話していると、思っていた。
一言も発しないで、カクテルをオーダーしていた。
席も、「こちらへどうぞ」とは言われていない。
あなたが、バーテンダーさんを見る。
バーテンダーさんも、一言も発していない。
なのに、話しかけられていたような気がする。
カウンターのもう一組のカップルも、目と目で、会話している。
あなたと私も、会話していると、思っていた。
こんなに通じているから。
でも、実際には、目と目で会話していた。
テーブルのカップルは、声が大きかった。
カウンターのカップルが、アイコンタクトで話しているので、テーブル組の会話の大きさが、際立つ。
テーブルで、良かった。
いや、バーテンダーさんは、入っていた瞬間に、うるさそうだから、テーブルに回したのか。
声が、もう一段、ヒートアップした時、シェイカーを振った。
心地いい氷の動く音が、響いた。
テーブル席の声が、静かになった。
今のシェイカーは、坐禅の警策だった。
誰も、オーダーしたわけではなかった。
バーテンダーさんからの心配りだった。
あなたが、バーテンダーさんと、アイコンタクトしていた。