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#770 あなたの作戦に、はまりたい。

あなたの作戦が、好き。
あなたと、銀座のオーダーメイドの帽子屋さん。
前にオーダーの相談をしていた女性のお客さんが、相談が終わって帰る。
「お待たせしました」
感じよく、挨拶をされた。
そのお客さんが、お店の品格を表していた。
「ゆっくり、ご相談してくださいね」
とあなたが、テレパシーで伝えていた。
「どれでも、かぶってみてください」
ご主人が、私に言った。
私は、あなたの付き添いだったのに。
「一緒に来て、選んで」
と言ったのは、私が来やすいようにしてくれる、あなたの作戦だった。
「『選んで』って、言ったでしょ」
あなたは、笑っている。
私は、迷った。
気になるのが、いっぱいありすぎる。
「見てるのと、かぶってみるのと、全く違いますからね」
奥様が、言った。
「たとえば」
ご主人が、一つの帽子をとった。
なんで。
それは、私が、最初から気になっていた帽子だった。
見ていることが、バレていた。
「失礼」
ご主人が、その帽子を、かぶせてくれた。
なに、この感覚。
帽子をかぶったという感覚ではなかった。
なにかの、魔法をかけられた感覚だった。
帽子は、サンプルなのに、私に合わせて作られた帽子のように、フィットした。
帽子が、体の一部に、感じられた。
そうだ、帽子は、選び方が1割で、かぶり方が9割だった。
今、私は、最高の笑顔をしている。
鏡を見なくても、わかった。
あなたが、そんな私を見て、笑ってくれている。
新しい人生が、始まった。
あなたに出会った日のことを、思い出していた。



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