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#778 コートを、着せながら。

あなたのコートの着せ方が、好き。
あなたが、コートを着せてくれる。
あなたの反対側を向く。
両方の手を、あなたに差し出す。
あなたのことは、全く見ない。
今から思うと、コートをお店の人に着せてもらう時、いつも、振り返っていた。
あなたは、安心。
委ねられる。
まったく、振り返らずに、すむ。
この瞬間が、好き。
両方の手をあなたに、差し出す。
着せてもらってもいい。
コートのベルトで、縛ってもらってもいい。
ちょっと、Mな気分になる。
背中を、あなたに見られている。
あなたが、私の背中を、味わっている。
コートを着せてもらうプレイになっている。
好きにしてもらいたくなる。
コートを脱がせるより、着せるほうが、もっとエロティックなことだと気づいた。
両方の手の甲に、袖口を感じる。
次の瞬間、私の体が、浮き上がる。
ヒールが、床から離れる。
ふわりと、空に舞い上がる感じ。
そして、浮き上がったまま、袖が通り、あなたの長い腕で、包み込まれる。
襟をあなたの両手が持っている。
そのまま、フィギュアスケートの回転のように、90度回転する。
目の前に、あなたの優しい目と。
そして、やわらかな唇。
これは、キスの直前の距離。
あなたの両方の手が、優しく、襟元を閉じてくれる。
ますます、唇を意識してしまう。
もう一回、脱がしてもらうところから、味わいたい。



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