#781 もう一回、脱がせて。
あなたのお箸の帯のほどき方が、好き。
あなたと、和食のお店。
あなたの、お箸に、帯がかかっている。
帯に、お店の屋号が書かれている。
あなたと会うまで。
帯を、破っていた。
あなたが、帯をするりと抜くのを見て、恥ずかしかった。
あなたといると、恥ずかしいことだらけ。
恥ずかしい感覚を感じるたびに、生まれ変わっている気がする。
恥ずかしいことが、快感になってきた。
それ以来、帯を破らないようにしている。
帯を、抜こうとした。
堅い。
抜けない。
あなたは。
あなたは、何事もなかったかのように、するりと、帯を脱がせた。
抜いたというより、脱がせた。
なにも、力を入れていない。
お箸が、自分で、帯をほどいたように見えた。
日本のお箸が、まるで長い女性のしなやかな脚のように、見えた。
お箸が、セクシーだった。
帯が、抜きやすいのと、抜きにくいのがあるのかな。
あなたが、気づいて、私のお箸に、優しくタッチした。
そんなことで。
かわるわけが。
さっきまで、あんなに硬かった帯が、するりと抜けた。
私のお箸まで、セクシーなため息をついたようだった。
もう一回。
そう言ったのは、お箸。
はもったのは、私。