#782 お姫様を、寝かせるように。
あなたのお箸の置き方が、好き。
あなたと、和食のお店。
サラダが、出た。
サラダの食べ方は、難しい。
ナイフとフォークで、食べる姿も、美しい。
それ以上に。
お箸で、サラダを食べる姿が、美しい。
器用というのではない。
まるで、ダンスを踊るよう。
お箸が、喜んでいる。
サラダが、喜んでいる。
器も、喜んでいる。
作ってくれた人も、喜んでいる。
おいしそうに、感じる。
ふだん使い慣れているものだから、余計、お箸の使い方は、差が出る。
つい、油断してしまう。
あなたは、一口食べると、お箸を置く。
一口を、味わっている。
しまった。
私は、お箸を持ったままだった。
おなたのお箸の置き方が、セクシー。
持ったまま、置かない。
左手を添えて、両手で持つ。
そして、右手を、お箸から離さずに、滑らせて、右手の手のひらが、上に来る。
指が、伸びている。
お箸が、愛撫されている。
お箸置きが、枕に見えた。
頭を支えてもらって、ベッドに寝かせてもらっているように、見えた。
王子様が、プリンセスにするように。
もはや、和食なのか、洋食なのか、わからない。
お箸の幸せが、私にまで伝わってきた。