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#788 まるで、娘婿のように。

あなたの一緒に笑うところが、好き。
あなたと、ワクチン接種会場。
入る前に、椅子に並んでいる。
あなたが「どうぞ」と先を譲ったおばあさんが、あなたを振り返って、にっこり微笑む。
あなたは、微笑みを返す。
まるで、旧知の間柄のように。
連れの男性が、終始黙っている。
おばあさんが、男性に話しかけた。
英語だった。
男性は、フランス語で返した。
男性は、外国人だった。
一見、日本人にも見えるので、ロシアの人か、なかなかのハンサムだった。
年齢的に、娘婿か。
おばあさんは、流暢なフランス語で話している。
娘さんも、美人であることが、想像できた。
男性が、あなたを振り返って、会釈した。
「それでは、受付の方へどうぞ」
あなたは、私を先に譲ってくれた。
テキパキ、段取りがいい。
このオペレーションを考えてる人は、凄いなと感じた。
1回目より、2回目。2回目より、3回目。
さらに、進化している。
シンプルに、なっていっている。
緊張感や、ギスギス感がない。
笑い声さえ、聞こえている。
笑い声のほうを、振り返った。
あなただった。
受付の係の女性も、笑っている。
こういう状況の中で、あなたは、一緒に笑うことで、頑張っている人をねぎらう。
係の人にも。
接種に来た人にも。
あばあさんが、先に、進んだ。
あなたを振り返って、にっこり微笑んだ。
まるで、あなたも、娘婿のように。



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