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#792 あなたと、映画の中に入る。

あなたとうろうろするのが、好き。
あなたと、お寺に行った。
前から、車で、三門の前を何度も通っていた。
入ったことがなかった。
実際、門の下に行くと、大きさがわかった。
「大きい」
私は、柱に、触れた。
太い柱は、あなたに似ていた。
柱に、抱きつきたくなった。
「礎石に、乗っているだけだから、ずれるよ」
えっ。
驚いて、離れた。
たしかに、少しずれていた。
ずれたところを、直そうとして、大きな門が、倒れる映像が浮かんだ。
チャップリンの映画にありそう。
三門をくぐると、広く長い石の階段があった。
一段の高さが、高かった。
タイトスカートが、ギリギリだった。
これは、写真では、わからない。
写真では、わからない体験をさせてくれるあなたが好き。
お寺は、お城ができる前、お城の役割を果たしていたとあなたが教えてくれた。
このお寺は、七不思議で有名。
その七不思議の看板が、見当たらない。
地図で、確認する。
地図にも、出ていない。
あら? 所在地が、間違っている。
この地図は、前にどこかに置かれていたのを、移動して、現在地を修正していない。
まさに、攻める敵を撹乱する作戦。
そうか、この地図が、すでに七不思議のひとつ。
あなたは、ほとんど地図を見ない。
すいすい、歩く。
まるで、仏様に導かれているみたいに。
細く急な階段は、ハリウッド映画の撮影に使われた。
さっきも通った。
それでも、あなたはゴキゲン。
2回通ることも、仏様のお導き。
007と歩いている気分になってきた。
やっぱり、あなたはハリウッド映画。



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