» page top

#793 オーダーを、覚えてくれる。

あなたの記憶力が好き。
あなたと、複合施設の中のレストラン。
初めての珍しいメニューが並んでいる。
迷う。
あなたは、微笑みながら、迷わせてくれる。
「お決まりですか」
スカーレット・ヨハンソンのようなウエイトレスが、微笑みながら来た。
焦る。
あなたは、スカーレットに、ニコッと微笑む。
スカーレットは、微笑みを返して、時間の猶予をくれた。
「女性のゲストが、多いね」
見ると、まわりは女性のゲストが8割。
「スタッフが、イキイキしてるね」
私が、迷っている間も、あなたはゲストも、スタッフも、見渡している。
化粧室に、行きたくなってきた。
お店に入る前に、行っておけばよかった。
「化粧室は、お店を出て、左に行って、突き当りを、右のところ」
初めてきた複合施設なのに、もうあなたは把握している。
化粧室で、頭を整理してきて、戻る。
ドリンクが、届いていた。
それでも、混乱している。
目につく、メニューをあなたに、言った。
メチャクチャな、順番になった。
スカーレットが、来た。
あなたは、私がメチャクチャに言ったメニューを、完璧に記憶して、整然とオーダーしてくれた。
自分でも、覚えていないくらいだったのに。
あなたの集中力は、どこから来るのか。
「ハーフポーションも、できますか」
あなたは、小さい方をお願いしてくれた。
私の「ちょっとずつ、いろいろ」気分を、察してくれた。
お寿司に行く時も、黙っていても「シャリを小さめで、お願いします」と言ってくれる。
スカーレットが、テーブルの横を通るたびに、あなたに微笑む。
ドキドキした。
まるで、内緒の恋人のように。
きっと、初対面。
あなたと初めてのレストランに行く楽しみ。



【中谷先生のおすすめ電子書籍TOP3】 紹介記事はこちらからどうぞ