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#795 知らなかった、好きなもの。

あなたと知らないメニューを頼むのが好き。
あなたと、レストラン。
メニューを、選ぶ。
不思議な感覚。
いつもだったら、絶対選ばない料理を、選んでいる私がいる。
いつもは、好きな料理を選ぶ。
あなたと一緒の時は、違う。
知らない料理を選ぶ。
知らない料理が、目に飛び込んでくる。
あなたは、不思議。
私を、冒険者に、してくれる。
自分で、選んでおきながら。
なんで、私は、これを選んだのだろうと、自分でもおかしくなる。
ひょっとしたら、前から、気になっていたのかもしれない。
だけど、外すのが怖いから、見ないふりをしていたかもしれない。
あなたと一緒なら。
外しても、平気。
なにも、怖くない。
だから、思い切って、知らない料理を選べる。
あなたが、進めているわけではない。
あなたは、私の緊張感を、取り除いてくれている。
オーダーしながら、どんな料理が出てくるか、まったく想像がつかない。
その気分を、味わっている。
不安感までが、楽しい。
食べ物だけではない。
あなたと一緒だと。
いつもと、違う選択をしている。
興味がなかったのではない。
興味があることを、否定していた選択。
いつも、同じ選択しかしていなかった。
こんなにも、広い世界があることを、あなたは教えてくれた。
私は、塔の中に、閉じ込められていた。
閉じ込めていたのは、自分自身だった。
メニューが、届いた。
クローシュが被せられている。
クローシュが、開けられるまで、ドキドキ。
クローシュが、開けられた。



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