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#797 見つめ合っての、沈黙。

あなたの見つめ合っての沈黙が好き。
あなたと、レストラン。
メニューには、魅力的なものが並ぶ。
私は、気になるものを、言う。
今日の気分は、「軽め」。
のはず、だった。
それは、お店に入るまで。
私が、気になるメニューを挙げた時、あなたは、笑っていた。
気づいてくれた。
方針が、「ガッツリ」に変わったことを。
こんな時、あなたは、困惑しない。
むしろ、喜んでくれる。
最初から「ガッツリ」よりも、メニューを見て、食欲が湧き上がったことを、一緒に喜んでくれる。
事前の気分は、あくまで事前の気分。
予定は、未定。
気分は、臨機応変。
あなたは、「軽め」気分にも、むっとしない。
「ガッツリ」に変わっても、むっとしない。
どちらも、「いいね」と受け止めてくれる。
それが、最高のごちそう。
あなたが、ウエイトレスさんに、私が気になったものを、すべてオーダーしてくれる。
気づいた。
その時、あなたは、メニューを見ていない。
ウエイトレスさんの目を見ている。
そして。
ウエイトレスさんも、メモを取らない。
ウエイトレスさんの目が、うっとりしている。
これって、メニューのオーダーのはずなのに。
まるで、愛を語り合う恋人同士のように。
一瞬、沈黙があった。
見つめ合って、沈黙なんて。
それが、あなたのオーダーの仕方。



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