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#805 かわりに、声掛けしてくれる。

あなたの声掛けが好き。
あなたが、帰ってくる。
「ただいま」
あなたの優しい声が、聞こえる。
「大丈夫?」
そう言ったのは、私ではなかった。
あなただった。
今まで、なんにも疑問に感じなかった。
ホントなら。
出かけていたあなたに、私が掛ける言葉。
「大丈夫?」
今まで、何度となく、やり取りしていた言葉なのに。
気づかなかった。
「大丈夫?」
と、私が掛けているつもりだった。
かけてくれていたのは、あなただった。
そういえば。
出かける時も。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
その後。
「気をつけてね」
そう言ったのは、あなただった。
私では、なかった。
気をつけるのは、出かけるあなただから。
私が、出かけるあなたにかける優しさが、「気をつけて」だった。
あまりにも自然だから。
今まで、なんの不思議にも、感じなかった。
それくらい、自然なあなたの声掛け。
あなたの言葉なのか、私の言葉なのか、わからないくらい。
あなたの言葉は、私の言葉。
あなたは、私の言葉と、溶け合う。
私が言った言葉なのか、あなたが言った言葉なのか、わからなくなる。
それが、気持ちいい。
そういえば。
私のかわりに言っている言葉がある。
「いく」



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