#810 やがて、出会うことになる。
あなたの伏線が好き。
あなたと、ビュッフェ。
この間の、紳士の男の子は、今日はいない。
そのかわり、今日は、淑女がいた。
あなたの背中に、座っている。
お父さんと女の子の二人組。
女の子の後ろ姿が見える。
長い首に、ポニーテイル。
カーディガンを羽織っている。
姿勢がいい。
年齢は、小学生。
のはずなのに。
大人を、感じる。
会話は。
年相応の、会話。
「もう一回、とりにいって、いい?」
お父さんに、聞いている。
ところが、その後姿から醸し出される空気が、大人。
街の若い女性よりも、遥かに女性を感じる。
年齢って、なんだろうって、思わされる。
立ち上がった。
その立ち方は、クラシックバレエのプリマドンナ。
小学生の立ち方ではない。
ビュッフェ台で、シェフに料理を入れてもらう。
こういう時、子どもは子どもになる。
大人も、子どもになる。
でも、プリマドンナは、妖精のままだった。
あなたは、もちろん、彼女に気づいている。
あなたは、いつものように紳士。
私は、この先の場面を、想像した。
あなたは、やがて、彼女と出会うことになる。
これは、映画の伏線。
伏線に気づけたことに、私はちょっと、自慢げだった。