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#811 神様の、絶妙なデザイン。

あなたの背中に、ボディミルクを塗るのが好き。
あなたが、シャワーから出てくる。
「クリーム、塗って」
あなたが、言う。
子どものような言い方が、かわいい。
住み込みのお姉さんと、一緒に女湯に入っていた頃から、お姉さんに塗ってもらっていたことを想像した。
お姉さんたちに、感謝します。
その役を、今、私ができるから。
肩の両脇のところは、自分では塗れない。
自分一人のお風呂上がりの時に、いつも、そこだけ塗り残しになる。
なんかいい作戦はないかな、と考えていた。
ここの塗り方を見つけたら、ノーベル賞。
ここを塗る道具を発明したら、大ヒット商品になるだろう。
神様は、なぜ、そんな場所を作ったんだろう。
全知全能なのに。
あなたの背中の端っこに塗りながら、気づいた。
神様は、わざと、そういう場所を、作った。
恋人たちが、そうして、塗りあいっこできるように。
やっぱり、神様は、全知全能。
ひょっとしたら。
進化の過程で、自分で全身濡れる人類も、現れたかもしれない。
でも、その人類は、残っていない。
ということは、絶滅したにちがいない。
恋人同士の楽しみがない。
そんな人類が、生き残る訳がない。
恋人が、できなかったはずだ。
となると、絶滅する。
あなたの背中に、ボディミルクを塗りながら、人類の進化を考えた。
ほとんどは、自分でできる。
一箇所だけ、自分でできない。
その配分が、神様の素晴らしいバランス加減。
住み込みのお姉さんたちに、感謝。
神様に、感謝。
いつまでも、塗っていたい。
やめ時が、難しい。
でもそれも、またしたくなる神様のデザイン。



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