#819 1000年前も、1000年後も。
あなたと路肩の花を見るのが、好き。
あなたと銀座を、歩く。
あなたと、私の間を、何かが通り過ぎた。
蜂だった。
銀座にも、蜂がいる。
蜂は、あなたの周りを飛んだ。
その後、路肩の花壇に。
銀座の真ん中にも、花壇はあった。
紫陽花が、咲いていた。
ここに、紫陽花を植えてくれた人がいる。
メンテしてくれている人がいる。
すぐそばを、歩いている人がいる。
スマホを見ているので、紫陽花には気づかない。
気づかれなくても、紫陽花は、ムッとしない。
誰かが、気づけばいい。
少なくとも、あなたと私は、気づいている。
メンテしているのは、人間だけではない。
自然もまた、植物を、メンテしてくれている。
銀座の路肩でも、原理は、原生林と同じ原理で生きている。
銀座の中の、原生林。
そのギャップが、面白かった。
あなたといると、不思議なことが起こる。
あなたは、虫にも、好かれている。
あなたは、花にも、好かれている。
それは、あなたが、虫に気づくから。
それは、あなたが、花に気づくから。
虫も、花も、正直。
好き嫌いが激しい。
紫陽花は、1000年前の源氏物語の時代から、咲いていたに違いない。
1000年後の未来でも、今日と同じように、咲いているに違いない。
あなたと、銀座の路肩で、紫陽花を眺めている時間が、楽しい。
1000年前から、あなたとこうして、紫陽花を眺めていた気がした。
1000年後も、一緒に、眺めている気がする。