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#820 銀座から、京都へ。

あなたの飛び方が好き。
あなたと、銀座を歩いている。
銀座の街は、ショーウィンドウが、楽しい。
まるで、美術館のよう。
銀座という大きな美術館の中に、ショーウィンドウという作品が、並んでいる。
今、最新の流行がある。
未来的なとんがったものもある。
伝統的なものもある。
着物が、目に入った。
着物屋さんだった。
銀座に、着物。
そういえば、クラブのママさんも、着物を着ている。
銀座的といえば、銀座的。
前を、大勢の人が通り過ぎていく。
見ているのは、私。
と、あなた。
よかった。
あなたは、一緒に、見てくれている。
周りの人は。
女性は、スマホで、気づかない。
男性は、点滅を始めた信号に、急いでいる。
私は、着物に、選ばれた気がした。
周りから、浮いている。
浮くって、楽しい。
着物には、余裕がある。
ショーウィンドウは、余裕がないと、見ることはできない。
特に、着物は余裕がいる。
あなたが、一緒に、見てくれる人で、良かった。
でも。
あなたは、私の予想を、遥かに超えている。
着物屋さんの中に、入っていった。
そこまで、予想していなかった。
「目のお正月を、させていただきます」
あなたが言った。
「ようこそ」
と京都弁で、迎えてくださった着物姿の男性は、玉三郎さんを30代にしたような柔らかさだった。
その中は、一気に、京都になった。



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