#832 声に、ハモって。
あなたの和声が好き。
あなたと、ベッドの中。
ベッドの中ではなく、あなたの腕の中。
あなたと、お話。
あなたの声が、心地いい。
いつのまにか、眠ってしまう。
いつも、私が先に、眠ってしまう。
あなたの声を聴きながら、気づく。
いけない。
私の声が、大きすぎる。
あなたの声は、小さく、やさしい。
子守唄の声の大きさ。
それに比べて、私の声は大きかった。
あなたの小さな声は、私の声の大きさを、鎮めてくれる。
小さな声で、とは言わない。
自分の声を小さくするだけで、気づかせてくれる。
あなたは、いつも最小限の声の大きさで、話している。
あなたの声は、通る。
決して、大きすぎるわけではない。
小さい声なのに、通る。
だから、最小限にできる。
自分の声のうるささが、情けなくなる。
静かな所でも、周りの音が、大きなところでも、あなたの声は、最低限の大きさで、聴こえる。
それはつまり。
あなたが、場所に合わせて、声の大きさを変えているから。
周りがうるさいところでは、あなたは、通るように声を出している。
もう一つ、気づいた。
あなたは、一定の音程で話していると思っていた。
違う。
あなたは、私の声の音程に、和音になるように、音程を変えて話している。
だから、心地いい。
私の声の音程は、感情で変わるはず。
それでも、あなたは、和声をつくって、心地よくしてくれる。
子守唄の中で、幸せな眠りに、溶け込んでいった。