#833 登場から、クライマックス。
あなたの通りの歩き方が好き。
あなたと、待ち合わせ。
私が、早めに着いた。
休日の表参道は、カップルが多い。
いい天気。
青空に、緑が映える。
そんな中。
あなたが、通りを歩いてくるのが、見えた。
なんだろう、この景色。
あなたは、まるでレッドカーペットを歩くように、表参道を歩いている。
カッコつけて歩いているわけではない。
あなたは、何気なく歩いている。
なのに。
なんという爽やかさ。
あなたのところだけが、浮き上がって見える。
まわりには、カップルが大勢いるのに。
あなたが道を歩いてるのではない。
あなたが歩くように、道ができあがっていっている。
劇場の花道を歩くようでもある。
あなたが現れることで、場の空気が変わる。
日常の世界ではなく、映画の世界に変わる。
あなたは、歩くことを、楽しんでいる。
道は、あなたに歩かれることを、楽しんでいる。
ロマンチックなBGMが、流れているかのよう。
いつまでも、あなたを眺めていたい。
道って、こういうふうに、歩くものだった。
この場面を、見れてよかった。
この場面を見逃していたらと思うと、どきりとした。
他のものをキョロキョロしていて、見逃したら、一生の不覚になった。
今日のクライマックスを見せてもらった。
あなたの登場シーンこそが、クライマックス。
あなたは、まだずっと、遠くにいる。
あなたの、ごきげんさが、伝わってきた。