#838 行くと、ムズムズと。
あなたの言葉の魔法が好き。
あなたと、カフェ。
他の女性のお客さんの会話が、聞こえた。
「今度、……に、行く?」
「行く」という言葉に、反応した。
あなたといると、言葉に敏感になる。
「行く」という言葉を聞くだけで、体が、反応してしまう。
エッチなことを想像してしまう。
女の子たちは、そんな話をしているわけではないのに。
さっきまで、あなたに、かわいがってもらっていた余韻が、残っている。
「行く」
という言葉で、もう一度、行く。
女の子たちの会話が、ますます、聞こえる。
「最近、このご時世だから、どこにも行けなくて。ムズムズするよね」
これは、だめでしょ。
「ムズムズ」
この言葉で、また、体が、反応した。
私の体は、どうなってしまったのかしら。
言葉に、敏感になった。
それって、素敵なこと。
なんでもないひと言に、体が反応する。
あなたは、言葉を魔法使いのように、使いこなす。
言葉の魔術師。
これは、あなたが、かけてくれた魔法かな。
言葉と、体が、完全に連動してしまっている。
あなたも、同じかな。
そうだと、嬉しい。
たったひと言の言葉で、感じることが、できるようになった。
言葉は、魔法。
女の子たちの会話は、続いている。
何気ない雑談なのに。
私にとっては、あなたの愛撫に、聞こえてしまう。
そういうことが、私の密かな愉しみ。