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#843 お寿司が、お姫様に。

あなたのお寿司の持ち方が好き。
あなたと、お寿司。
茶碗蒸しから、始まる。
柚の香りが、食事のファンファーレとなる。
お腹が、空いていたことを、思い出させてくれる。
真鯛の昆布締めから始まる。
あなたは、お醤油をつけない。
つけても、生姜の小さいかけらで、一滴つけるだけ。
こんな食べ方を初めて、見た。
真似してみる。
なんだろう。
今まで食べていたお寿司と、味が全く違う。
今までは、小皿に取ったお醤油が、すぐなくなっていた。
あなたと食べると、お醤油が、全く減らない。
素材の味を、初めて味わった。
今までは、お醤油を飲んでいた。
あなたのお寿司のお箸での持ち方が、やさしい。
お箸が、横からすくい上げる。
まるで、お寿司がお姫様抱っこされているみたい。
お寿司が、ふんわり、抱き上げられる。
お寿司の方から、抱きついている。
私は、よくシャリが、割れてしまっていた。
それは、お寿司をつまんでしまっていた。
なんの違和感も感じなかった。
あなたのお箸でのお寿司の持ち方を見るまで。
あなたのお寿司の持ち方を見ると、まるで自分が抱き上げられている感じがする。
お寿司が幸せそう。
どんなに板前さんが、フワフワにシャリを握っても、壊れない。
優しく、抱き上げてくれる。
板前さんが、あなたには、もっとフワフワに握りたくなる。
いつもの私のお皿の上には、ご飯粒が残っていた。
お醤油の天塩皿にも、ご飯粒がついていた。
ということは、シャリにもお醤油がついていた。
あなたが、お寿司の味わい方を、教えてくれた。



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