#848 ジューシーと、クリーミーと。
あなたの上下のなさが好き。
あなたと、オイスターバー。
全国の牡蠣の食べ比べ。
同じ牡蠣でも、こんなに味が違うなんて。
どれもおいしい。
隣りのテーブルのおじさんの会話が聞こえた。
「こっちより、あっちがおいしい」
一緒にいた女性が、「この人とは、二度とこない」という顔をしている。
それも、学習。
「君は、まだ、本当の牡蠣の味を知らない。うちの田舎の牡蠣が一番だ」
女性が、化粧室に立った。
化粧室は、逆の方向。
親父は、気づいていない。
彼女が、かえって戻ってこないことを。
あなたの頭の中に、上下の概念がない。
上下での比較がない。
「こっちのはジューシーで、こっちのはクリーミー」
それぞれの良さを見つける。
美意識のある人は、上下で比較しない。
それぞれの良さを見出す。
上下で比較する人は、自分もそうされることを恐れて、ビクビクしている。
あなたには、ビクビク感はない。
一緒に、12種類の紅茶を飲んだ時も、12種類の良さを見出した。
別の日、そのお店に行った。
その日は、台風の影響で、牡蠣は2種類のみ。
台風の時に、少ないことに、あなたはむしろ感心していた。
天然も、養殖も差別しない。
すっぴんも、メイクも、どちらもほめてくれる。
あなたと、牡蠣を味わう。
牡蠣って、セクシーな食べ物。
セクシーに、上下も、勝ち負けも持ち込まないあなたが、好き。