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#854 あなたが聴いている自然の囁きを、聴く。

あなたのキャプションが好き。
あなたのインスタのキャプションは、違う。
説明ではない。
もはや、俳句。
もはや、詩。
そもそも写真が面白い。
つい、その写真を説明したくなる。
でも。
あなたは、説明しない。
「えっ、そういうことだったの」
と、物語が、どんでん返しになる。
何気ない写真ですら、あなたのキャプションがつくと、がぜん、映画のワンシーンになる。
そう、映画。
あなたのキャプションには、ドラマがある。
あなたのキャプションは、語り手がいる。
喋っている。
キャプションではなく、すでにセリフ。
絵の中の雲が、月が、木が、喋っている。
絵本を読むような。
根底には、優しさがある。
見る人と、写真とが、一体になる言葉。
高校時代の短歌部。
広告代理店時代のコピーライティング。
あなたは、詩を吟じるように、キャプションを考える。
口の中で、囁いている。
囁きを聴いて、笑っている。
あなたのインスタを通して、あなたの見ている風景を、見ることができるのが嬉しい。
あなたのキャプションを読むことで、あなたの聴いている自然の囁きを聞くことができるのが嬉しい。
私が好きなのは、夜の木の枝と、枝の間に輝く月の写真。
まるで、日本画。
「これは、着物の柄だね。一見渋いのに気づく君が、いいね」
同じ写真が好きで、嬉しかった。
夜に、デートするこの枝は、あなたと私。



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