#865 片付ける、椅子と踊る。
あなたのダンスが好き。
あなたと社交ダンスのダンスパーティー。
あなたは、今日は、ビジネススクールの講義がある。
私が、先に行っている。
ラスト30分に、あなたは到着する予定。
30分だけでも、行こうと言ってくれるあなたが好き。
あなたがいないダンスパーティーは、盛り上がらない。
それなりに楽しい。
でも、何かが足りない。
これで、普通なのだけれど。
あなたがいないと、普通になってしまう。
スペシャルに盛り上がらないと、スケジュールが巻いてしまう。
フリータイムのダンスが、あなたがいる時は、時間が足りない。
あなたがいないフリータイムは、時間が余る。
それで、全体が、巻きになっている。
お開きの挨拶がなされた。
そこへ、あなたが到着。
ビジネススクールで、すでにタキシードに着替えてきている。
テーブルが、片付け始められている。
そんな時、あなたは動じない。
ダンスシューズに履き替える。
ちょっと、残念な顔をしている私の手を引いて、フロアに出た。
「踊るよ」
そして、無音の中、踊り始めた。
無音ではなかった。
あなたが、鼻歌で「ファシネーション」を歌ってくれた。
片付けをするホテルのスタッフの合間を、軽々と通り抜けながら。
フロアにいるのは、私とあなた。
そして、片付けているホテルのスタッフ。
パーティーの参加者は、記念撮影を楽しんでいる。
二人きりの世界が、生まれた。
まるで、ディズニーの世界の舞踏会。
まわりで、テーブルや椅子が、踊っている。
パーティーが予定より早く終わってくれて、ありがとう。
この時間のために。
これが、ダンス。