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#871 そんな風に、撮られたい。

あなたの写真の撮り方が好き。
あなたと、表参道を歩いていた。
ふと、あなたが立ち止まった。
あるショウウィンドウの前。
そして、何事もなく、また歩き始めた。
まさに、何事もなく。
おやっ?
何事もなく、に見えたけど。
あなたは、ショウウィンドウのマネキンの写真を撮った。
隣りにいる私が、頭の中で、再生しなければならないほど、素早く。
写真を撮った素振りを、感じさせない。
早業。
あなたの写真は、アングルがこだわっている。
こんなアングルで、というアングルで撮る。
普通、引きで撮るような所でも、あなたは、寄る。
みんなが撮る所は、切り捨てる。
大勢が、カメラを出している場所がある。
そういう場所では、あなたは、スマホを出さない。
誰も撮る人がいない所で、あなたは撮る。
しかも。
速い。
迷いがない。
1枚しか、撮らない。
あなたが、2枚撮っている所を、見たことがない。
そう言えば。
料理の写真を撮る時も。
速い。
通常、料理の写真を撮るのは、おしゃれではない。
熱々を出してもらっているシェフやスタッフさんに、申し訳ない。
ところが、あなたは、速い。
まるで、手品のように、撮る。
ナプキンを、口に当てたかのように、撮る。
それが、見事なアングルになっている。
後で、見せてくれる。
いつ撮ったの。
ずっと、隣にいたのに。
気づかなかった。
私も。
そんな風に、あなたに、撮られたい。



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