#876 まぶたが、連動して。
あなたのまぶたが好き。
あなたが、キスしてくれる。
なんでもない時に。
お話している最中でも。
何事も、なかったかのように、話し続ける。
句読点のような、あなたのキス。
それだけで。
なんでもない会話が、楽しくなる。
それでいて。
雑ではない。
きちんとしている。
ある時、気づいた。
あなたが、句読点のキスをする時。
私は、目を閉じる。
と、同時に、あなたも目を閉じている。
私は。
あなたにキスをされると、自動的に、目を閉じてしまう。
あなたは、閉じなくてもいい。
でも、あなたも、目を閉じている。
ひょっとしたら。
あなたが、先に目を閉じているかもしれない。
目を閉じても。
唇の場所が、わかる。
そう言えば。
あなたの唇が、近づいてきた時。
私は、目を閉じ始めた。
その刹那。
あなたを見た。
閉じている。
あなたは、目を閉じている。
私の目は、あなたのキスで閉じているのではなかった。
あなたのまぶたが閉じると、私の瞳も閉じる仕組みになっていた。
連動している。
まるで、機械仕掛けのお人形のよう。
あなたのまぶたと、私のまぶたが、連動していることに、ちょっとうれしくなった。
あっ。
私のまぶたが、閉じていく。