#882 真剣に答え、真剣に驚く。
あなたのクイズの答え方が好き。
あなたと、老舗のレストランに行った。
オーナーが、対応してくれた。
あなたが、前から知り合いだったからではない。
あなたが、只者ではないことを、感じとって、対応してくれた。
そうに、ちがいない。
たしかに、只者ではない。
そして、それに気づいたオーナーも、さすが、老舗のオーナー。
只者ではない。
只者ではない人は、只者ではない人に、気づく。
料理が運ばれてくる最中も、オーナーは、お店の歴史について、語り続けてくれた。
「どうぞ、お召し上がりながら。勝手に話しますから」
100年以上の歴史の話は、面白い。
歴史ではなく、家族の思い出だから、熱の入り方が違う。
分厚い本も、たくさん持ってきてくれた。
「お召し上がりになりながら」と言いながら。
時折、質問が入る。
「はい、これは、何でしょう」
質問というより、クイズ。
わからない。
難しすぎる。
あなたは。
えっ。
即答している。
しかも、真剣に。
「ブブーッ」
不正解。
しかも、外れている。
「正解は……」
「えーっ、意外」
あなたは、真剣に驚いている。
まるで、テレビのクイズ番組のリアクション芸人のように、真剣に、かつ盛り上げる。
景品もなにもないクイズ。
景品は、楽しい時間。
この料理の隠し味は、オーナーのトークだった。
あなたは、オーナーと一緒に、料理を作り上げてくれた。