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#883 ひとくちの、お楽しみ。

あなたのアミューズ・ブーシュが好き。
あなたと、食事。
「荷物を、置いてから行こう」
あなたが言った。
この日、私は、大きなバッグを抱えていた。
それを見て、あなたが気を使ってくれた。
それから。
お部屋に入った。
キス。
あなたが、お店に、電話。
30分、遅れますと。
ということは。
食事の前に。
あなたを、味わうことができる。
そうそう。
そういうことを、したかった。
オーダーは、していない。
なんとなく、したいなと思っていることを。
あなたは、形にしてくれる。
その形を見ると、「そうそう、こういうのがしたかった」と、気づける。
食事の前に、あなたを味わう贅沢。
そして、美味しい食事。
その後も、また、あなたを味わえる。
最高の、贅沢。
本当の贅沢とは、「この後も、味わえる」と思えること。
あなたを、味わった後、リップをひと差し。
そして、予約したお店に。
さっきまでの余韻が、残る。
今日は、ヌーベル・キュイジーヌ。
コース。
「こちら、シェフからのアミューズ・ブーシュです」
スプーンに乗せられたおしゃれなひとくちのお料理が、前菜の前に出された。
アミューズ・ブーシュ。
お口のお楽しみ。
シェフが、サプライズをくれる。
シェフの力量の見せ所。
さっきのは。
あなたがくれたアミューズ・ブーシュ。
ひとくちのお楽しみ。



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