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#884 そんな風に、ボタンを押されたら。

あなたのエレベーターのボタンの押し方が好き。
あなたと、エレベーターに向かう。
あなたが、エレベーターを、押す。
あっ。
声が、漏れてしまった。
あなたは、今、なにをしたの。
エレベーターのボタンを押しただけなのに。
一瞬。
エレベーターが、抱きしめられた。
スローモーションで、再現。
あなたは、エレベーターのボタンを、あなたの手のひらが包み込んだ。
まだ、ボタンには、触れていない。
まるで、頬を包み込むように、あなたの手のひらが、優しく包み込む。
そして、そおっと、中指が、ボタンに触れる。
焦らされてる感じ。
しかも、その触れ方は、押していない。
指先で、小さな円を描いている。
乳首の側面を、一回り撫でられる感じ。
それだけではない。
あなたの左手は。
右手よりも高い位置から、エレベーター自身を、抱きしめている。
声を上げたのは、私か。
それとも、エレベーターか。
それとも、両方か。
思い出して。
深い、ため息がでてしまった。
いいの。
こんなパブリック・スペースで。
こんなセクシーなこと。
気がつくと、後ろに、女の子がひとり立っていた。
彼女は、目を閉じていた。
見たわね。
彼女は、とんでもないものを見て、感じていた。
エレベーターの扉が、開いた。
あなたは、私と彼女を、先に招いた。
このまま、どうなるのかしら。



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