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#912 裏の意味を、くみとって。

あなたの追加オーダーが好き。
あなたと、ディナーで、パンケーキのお店。
あなたは、デザート優先の女の子の気持ちをわかってくれて、メインを少なめにオーダーしてくれた。
ロメインレタスのシーザーサラダ、カマンベールチーズとキノコのアヒージョ、ケイジャンビーフ・ライスセット。
あなたは、お店のベテランのメートルドテルのように、素早く鮮やかに取り分けてくれる。
初めてのお店。
料理の出てくるテンポは、早いことがわかった。
そのテンポに負けないスピードで、あなたは取り分けてくれる。
自分も、食べながら、私と会話も共有しながら。
シーザーサラダと、アヒージョを食べ終わった頃、<苺とブリュレクリームのスフレパンケーキ>が、テーブルに届いた。
まだ、ケイジャンビーフを、食べていなかった。
普通の男性は、「まだ、メインを食べてないのに、気が利かないお店だな」とグチをこぼす。
あなたは「ちょうど、よかった」と言った。
「先に、パンケーキを食べよう。お口直しに、お肉を取っておこう」
さすが、デザートを先に食べさせてくれる。
溶けやすいアイスクリームが、溶けないうちに、さっと分けてくれた。
さらに、「次は、どのパンケーキがいい?」と聞いてくれた。
「お口直し」とは、やっぱり、そういう意味だった。
「<バナナとピーナツのスフレパンケーキ>と<ピスタチオクリームとチョコレートのスフレパンケーキ>で迷う」
と、私は言った。
「いいね。じゃあ、<バナナ>を先に頼もう」
と、あなたは言った。
「先に」という言葉が、嬉しい。
「チョコレートの方も、生きている」
<バナナ・パンケーキ>が届くまでの間、ケイジャンビーフのピリリ感が、見事にお口直しの役割を果たしてくれた。
届いた<バナナ・パンケーキ>を、あなたはさっきより、少なめに分けてくれた。
なぜ、言う前に分かったの。
「想像以上に、軽くて、危ない」
と私が言うと、あなたは3番めに<チョコ・パンケーキ>をオーダーしてくれた。
「まだ、行けそう」というメッセージを、受け取ってくれる。
<チョコ・パンケーキ>を届けてくれたスタッフの女性が、あなたに微笑んだ。
3個同時ではなく、追加で、オーダーしてくれたのが、彼女にも伝わっていた。



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