#915 伏線は、次回回収。
あなたのオプションが好き。
あなたと、ブランチ。
南青山のレストラン。
エレベーターで、5階に上がる。
お洒落な店内。
テラス席に、案内される。
見たことがない景色。
南青山で、こんな景色があるなんて。
いつも知っている景色は、東京タワーのある東側の景色。
西側は、明治神宮方向。
高層建築が少ない。
晴れた日に見えるだろう富士山を、想像しているあなたを、想像した。
満席。
今朝までの雨が止んで、ギリギリセーフ。
もちろん、あなたは予約していた。
雨だったら、室内に席はない。
どうしたんだろう。
普通の男性だったら、二重に予約できないと言われると、「じゃあ、安全に、外に」となる。
実際、テラスの席は女性客ばかりだった。
カップルは、ほとんど室内にいた。
カップルの女性が、何度も、テラス席のほうを見ている。
雨の中で、傘をさして食べるのは、非現実的。
そんな一か八かの、ギャンブルはしない。
聞いてみた。
あなたは、笑って、目線を室内に送った。
そうか。
大きな窓ガラスの向こうに、バーカウンターがあった。
席はダブルで予約できないけど、バーカウンターなら、おさえられる。
あなたは、安全パイは、取らない。
だけど、無謀なギャンブルもしない。
かならず、オプションを持っている。
バーカウンターも、おしゃれだった。
私は、気づいていた。
今度は、夕暮れに、バーカウンターの方に、連れてきてもらえる。
夕暮れの富士山を見ているあなたを、思い描いた。
伏線は、次回回収。