#931 書くことを、楽しむ。
あなたの字を書いている所が好き。
あなたと、築地の江戸文字体験。
自分の好きな言葉を、江戸文字にしてくれる。
2文字から、3文字。
やっぱり、名前がいい。
親方が、まずお手本を書いてくれる。
鉛筆で、すいすい書いていく。
自分の名前なのに、見たことがない書体。
字が、生きている。
アニメーションのように、動いている。
あっという間に、お手本の出来上がり。
親方のお手本をもとに、自分で書く。
自分の名前なのに、自分の名前で、ないみたい。
初めて見る名前に感じる。
書いてみる。
不思議な感覚。
新しい自分と出会っている。
あなたは。
あなたも、名前を書いてもらう。
親方の手の動きを、あなたが見ている。
手の動きだけでなく、身体の動きや、心の動きを見ている。
親方に、一体化して、あなたの中に、インストールしている。
あなたは、字を見ていない。
もっと、別の何かを見ている。
あなたの名前のお手本が、できあがった。
やっぱり、かっこいい。
そして、あなたが、書き始める。
速い。
迷いがない。
しかも、3Dプリンターのように、正確。
鉛筆が、走っている。
「字、書くの、好きでしょ」
親方が、あなたに笑顔で、声をかけた。
字を書くのが好きな人には、好きな人がわかる。
上手に書こうとしているんじゃなくて、書くことを楽しんでいる。
顔をあげたあなたは、小学生の笑顔をしていた。