#934 あらゆるものを、後がなく見る。
あなたのTVの見方が好き。
あなたが、ブルーレイを入れ替える瞬間に、テレビが付いた。
ちょうど、夏の高校野球をしていた。
そんな、季節。
地方大会の決勝戦だった。
地方大会の決勝戦は、甲子園大会より、緊張感がある。
甲子園に、行けるか、行けないかがかかっている。
常連校が強いのは、「甲子園に行く」というプレッシャーに、強いから。
常連校も「行けて、当たり前」というプレッシャーと、戦っている。
ひとつ負ければ、終わり。
後がない。
試合は、終盤。
ハイライトで、これまでの流れが紹介された。
点の取り合い。
シーソーゲーム。
高校野球は、メンタルの戦い。
流れで、あっというまに、5点くらい入る。
そして、5点くらい取られる。
あなたは、もう感情移入している。
監督に、なっている。
見るつもりで、つけたわけではないのに。
たまたまついた画面でも、あなたは没頭する。
催眠術だと、3つ数える必要はない。
1つのうちに、入っている。
楽しんでいる。
まるで、待ち望んでいた場面のように、試合の中の人になっている。
もはや、TVを見ている人ではない。
あなたは、チャンネルを変えない。
たまたまついた画面に、そのまま、入ってしまう。
面白そうな番組を探している所を、見たことがない。
どんな番組でも、楽しむ。
楽しみ方を、知っている。
ルールを知らないスポーツでも。
気がついた。
あなたが、たまたま遭遇する場面は、いつもいい場面。
神様が、つけてくれているのか。
そうじゃない。
あなたが、真剣に感情移入するから、何でもない場面が、いい場面になる。
なんのことはない。
それは、ふだんから。
あなたは、あらゆるものを、地方大会の決勝として見ている。
そんなあなたを見るのが、好き。