#940 頷きながら、そしてお辞儀。
あなたのお辞儀が好き。
あなたと、ブルーレイで、映画を見ていた。
ブルーレイを、入れ替える時に、スポーツ番組が写った。
甲子園。
9階裏の攻撃。
点差は、1点差。
ここで、点を取らないと、負けてしまう。
いい場面。
あなたが、TVをつけると、たいていいい場面。
ツーアウト、ランナー無し。
フルカウント。
絶体絶命。
テレビがついた瞬間から、あなたは球場にいる。
しかも、スタンドではない。
グラウンドにいる。
どちらの学校も、ゆかりがない。
でも、あなたは、テレビがついた瞬間から、応援している。
負けている方を。
最後の1球。
サードゴロ。
悲鳴と歓声が上がる。
三塁手が、焦った。
1塁悪送球で、バッターランナーは2塁に。
1打同点のランナー。
三塁手が、落ち込んでいる。
あなたは。
あなたは、頷いている。
エラーした三塁手に、頷いている。
次のバッターは、8番バッター。
今日、ヒットなし。
たちまち、2ストライク。
打った。
打球は、バックホーム体制の前進守備の頭上を超えた。
同点。
クッションボールの処理をハンブルして、バッターランナーは、3塁へ。
万事休すのチームが入れ替わった。
今、あなたは。
今度は、守る側の応援。
少しでも長く、試合を味あわせてあげたい。
試合は、延長線タイブレークに。
試合が終わった後、サイレンがなった。
あなたは、監督のように、お辞儀をしたのを、私は見逃さなかった。