#945 前も後も、両方。
あなたの前と後が好き。
あなたと、レストラン。
ここは、歴史のある建物。
お庭に、風格を感じる。
ちょうど、レストランの予約の時間。
あなたは、いきなりレストランに入らない。
まず、お庭に。
普通の男性は、「予約の時間に遅れるから」と、レストランに直行する。
お庭では、披露宴の出席者の人たちが、記念撮影をしていた。
和装。
列席者の服装が、オシャレ。
「ダブルの礼服に、白ネクタイ」ではない。
なによりも、男性の髪型に、こだわりがある。
自己流ではなく、美容師さんと相談して、作り上げた髪型であることがわかった。
新郎の職業は、ミュージシャンかな。
和装にするセンスも、アーティストっぽい。
パーティーがオシャレかどうかは、男性にかかっている。
男性がオシャレでないと、女性がどんなに頑張っても、それ以上にはならない。
お庭から建物に入ると、次は2階へ。
レストランは、1階のはず。
あなたは、直線コースをとらない。
2階にも、披露宴会場があった。
その廊下は、ギャラリーになっていた。
まったくの美術館だった。
窓から、1階の披露宴会場の日本屋根が見えた。
瓦と、青空と、芝生のコントラストが、鮮やかだった。
濡れ縁で、進行係の人と、新郎新婦が、打ち合わせをしていた。
なんだか、幸せな光景を見ることができた。
そして、やっとレストラン。
レストランの人は、少し遅れていても、にこやかに迎え入れてくれる。
レストランの人も、お庭やギャラリーを、味わってほしいに違いない。
レストランで味わう食事は、格別に美味しかった。
食べる前に、幸せな空気を味わったから。
感度が、敏感になっていた。
食後、もう一度、お庭に出た。
食事の前に見たお庭とは、違う景色に見えた。