#946 自由に、転がせて。
あなたの転がせが好き。
あなたと、レストラン。
メニューが、渡される。
あなたにお店を聞いていたから、昨日、サイトでメニューをチェックしてきた。
メニューが、多い。
昨日の夜、迷いに迷って、選んできた。
メインはこれで、デザートはこれと。
「私は……」
あら。
違う。
メニューが、変わっている。
ちょうど、今日から変わっている。
変わっているから、あなたは今日、ここに連れてきてくれた。
秋のメニューになっている。
昨日の作業は、一からやり直しだった。
でも、それも楽しい。
迷うのが、楽しい。
あなたは、私が、前日、メニューで選んでいるのも、想像している。
そして、今、あたふたしているのも、知っている。
さらに、あたふたを、私が楽しんでいるのも知っている。
知られているのも、楽しい。
あなたの手の内で、転がされるのが、楽しい。
思い切り、転がされたい。
普通の男性だと、「何が、いい」と放り投げる。
そうすると、女性は、好きに選べない。
あなたは、作戦を立ててくれる。
その枠組の中で、自由に転げ回れる。
その作戦もまた、超絶技巧。
私は、思い切り迷いながら、迷いをあなたにぶつける。
あなたは、受け取ってくれる。
そして、整理してくれる。
整理しながら、私が思いもよらなかった、オプションをつけてくれる。
ウエイトレスの女性は、慣れている。
格式の高いレストランでは、ゲストはカスタマイズが細かいからに違いない。
「漏れたメニューは、今度、食べようね」
あなたは、次回のために、わざと漏らしてくれている。