#958 最初から、最後まで。
あなたのアミューズ・ブーシュが好き。
あなたと、ホテルのビュッフェに来ている。
あなたの前菜のお皿を見た。
高級フレンチだった。
3種類の前菜が、三角形に盛り付けられていた。
緑の大皿に、それぞれの料理が、離れて。
あなたのは、ビュッフェではなかった。
あなたは、料理長。
ビュッフェ台の素材を使って、新しい料理を、盛り付けている。
3種とも、私が気になっていた。
私は、好きなものをとった。
これでも、お皿の余白がなくならないように、頑張った方。
あなたの3種は、私が、気になっていたけど、ためらったものだった。
あなたの、感想を待った。
あなたが、一口食べると、私を見た。
美味しいのが、分かった。
次に、取ってこよう。
と思った時、私のお皿に載せられた。
あなたは、私が取ってない料理を把握して、自分の料理を選んでいた。
席に戻ったのは、同時だったのに。
ワゴンが、回ってきた。
チーズグラタン。
できたての香ばしい香りがする。
もちろん、頂く。
さっと、あなたが立って、すぐ戻ってきた。
そして、私のチーズグラタンのお皿に、何かを載せてくれた。
いちじくのパウンドケーキだった。
最初の全体把握で、気になっていた。
デザートに取っておいた。
あなたは、それをチーズグラタンに合わせてくれた。
一口。
チーズの塩味と、いちじくの酸味と、パウンドケーキの甘みが、お互いを引き立てた。
あなたのアミューズ・ブーシュ。
アミューズ・ブーシュは、ふつう、最初の一皿。
あなたのアミューズ・ブーシュのサプライズは、最初だけではない。
最初から最後まで、アミューズ・ブーシュしてくれる。