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#960 彼女が、選ばれるといいな。

あなたの女性の見方が好き。
あなたと、美のコンテストに行った。
あなたは、30年以上も、美のコンテストの審査員をしている。
続けているあなたも凄い。
あなたに依頼する人も、凄い。
あなたは、会場に入ると、ぐるりと一周する。
今日は、スタッフではないのに、スタッフの意識でいる。
何かあった時、手伝えるように。
あなたのタキシードのポケットには、シルクの手袋が入っている。
いつでも、エスコート役ができるように。
あなたは、スタッフに、声をかける。
スタッフの緊張感を和らげるために。
ステージの階段の位置を、確かめる。
ステージ上で、何かあった時、すぐに上がれるように。
あなたは、今日は、スタッフではない。
なのに、意識は、スタッフ。
オフの日のテロ対策班のよう。
審査は、3段階で、絞られていく。
世界中から、美女が集まっている。
あなたの視線を追った。
あなたは、まんべんなくさっと見ると、後は、一人だけを見ている。
あなたの見ている画面を映像化すると、クローズアップ。
70カ国70人もいるのに、一人しか見ていない。
その子が笑うと、あなたも、笑う。
ひょっとしたら、逆かもしれない。
あなたが笑うから、その子が笑うのもかもしれない。
あなたが見ている子が、ファイナルステージに、選ばれていく。
あなたは、当然という顔をしている。
あなたは、研究している。
その子が、どこが素敵なのか。
好みというわけでもない。
あなたは、周りをハッピーにするオーラを持っている女性が好き。
そのいう意味では、あなたの好みでもある。
彼女が、グランプリに選ばれた。
私も、納得だった。
「この女性に、あげたいな」と感じていた。
そういう人を、あなたは見抜く。
なんだか、自分のことのように、嬉しかった。



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