#962 見るだけ、見ましょう。
あなたのカップルの女性への優しさが好き。
あなたとファッション・デザイナーのパーティー。
着席型。
6人テーブル。
イタリア人のインダストリアル・デザイナーのご夫婦。
もう一組は、建築家のご夫婦。
クリエイターズ・テーブルだった。
他のテーブルも、アート関係の人が多かった。
お料理も、アート的な趣向が、凝らされていた。
会場も、歴史的由緒のある建物だった。
インダストリアル・デザイナーのご主人は、建築家のご主人と、旧知のよう。
話に花が咲いている。
あなたは、デザイナーさんの奥様が、退屈しないように、話しかける。
デザイナーの奥様は、きさく。
明るく笑いながら、あなたをポンポン叩いている。
メイン料理が終わり、デザートは、ビュッフェスタイルだった。
「デザート、どうしようかしら」
奥様が、呟いた。
「ダイエット、してるし」
あなたは、言った。
「見るだけ、見に行きましょう」
そう言いながら、奥様の椅子を軽く引いた。
「じゃあ、見るだけね」
そう言いながら、奥様は、胸で十字を切った。
神様に、「見るだけ」と言い訳をした。
ご主人は、あなたに、感謝のウインクをした。
ビュッフェ台には、パティシエが、並んでいた。
アーティスティックで、美味しそうなスイーツが並んでいた。
「これは、なんですか」
と、あなたは、パティシエに聞いた。
奥様に、聞いてもらうためだった。
「こんなところに、おしゃれなお皿がありますよ」
あなたは、奥様に、渡した。
奥様は、迷わず、乗せていった。
イタリア人は、当初の目的には、こだわらないところが素敵だった。
カップルで来ている女性にも優しいあなたが、素敵だった。