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#963 ベッドに、寝かせるように。

あなたのご飯の装い方の進化が好き。
あなたと旅館に来た。
食事は、お部屋で。
お櫃係りは、あなた。
私の所に置かれたお櫃を、あなたが自分の所に、引き寄せる。
あなたが、装ってくれる。
また、あなたの装い方が、進化した。
前からだったのに、私が気づかなかっただけか。
違う。
私も、気づかないことは多いけど、確実に、あなたは進化している。
あなたの所作に、完成はない。
毎日、進化している。
そして、永遠に、進化し続ける。
あなたが装うご飯は、違う。
何が違うんだろう。
確実に、違う。
粒が、立っている。
潰れていない。
どうすれば、そんなふうにできるのか。
せっかく上手に炊いても、装う時に潰れてしまう。
おかわりをした。
ご飯もおいしいけど、あなたが装うところも、見たかったから。
あっ。
しゃもじに乗せられたご飯が、そのまま返されずに、お茶碗に滑っていく。
普通は、上下が逆になる。
しゃもじに面しているところが、上に来るから、ベッタリとしてしまう。
粘りがあるにも関わらず。あなたが装うごはんは、あなたのしゃもじを、滑っていく。
お茶碗が、ベッドに見えた。
あなたは、ご飯を、ベッドに寝かせている。
だから、ふわりとしている。
ご飯粒が、幸せそうだった。



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