#964 まるで、パパのように。
あなたの少女との話し方が好き。
あなたと、美術館に来た。
関西の美術館は、好き。
あなたと、話しながら見ても、注意されない。
絵を見ながら、あなたの話を聞くのが、好き。
あなたのは、解説ではない。
あなたの、想像。
あなたの、物語。
いつのまにか。
お母さんと女の子も、あなたの話を聞いていた。
きれいなお母さん。
女の子は、外国人っぽい。
きっと、お父さんは、外国の人。
女の子が、あなたに質問をした。
「絵を、どう観ればいいの?」
あなたは、答えた。
「もし、もらって、君の部屋に飾るとしたら、どの絵がいいかを、選んでみたら」
女の子は、嬉しそうに、笑った。
「行ったり、来たりしていいの」
「もちろん、いいよ」
女の子は、1枚の絵を選んだ。
そこには、仔犬が、描かれていた。
「この仔犬は、君自身だよ」
また、女の子が、嬉しそうに、笑った。
お茶の器のコーナーもあった。
女の子は、一緒に、回っていた。
「器は、どう見れば、いいの」
「もしもらえるなら、どれがいいか、選んでごらん」
女の子は、また嬉しそうに、一つを選んだ。
「じゃあ、君は、これに何を入れるかな」
「コーンフレーク」
女の子は、即答した。
きれいなお母さんも、嬉しそうだった。
知らない人は、パパに見えたに違いない。
あなたは、ミュージアムショップで、女の子が選んだ絵葉書を、プレゼントしてあげた。