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#980 SOSの、現場に飛んで。

あなたの当事者意識が好き。
あなたと、お部屋にいた。
あなたが、テレビをつけた。
あなたは、リアルタイムで、テレビを見ることはほとんどない。
録画した番組を、倍速で見ている。
しかも、びっしりメモを取りながら。
テレビをつけると、飛行機が映し出されていた。
飛行機は、左エンジンから煙が出ていた。
たった今、起こった事故だった。
まだ、事故かどうかも、わからない状態だった。
まるで、あなたの所に、「テレビをつけて」という緊急速報が、来たかのようだった。
それは、今日だけではない。
あなたが、たまたまつけると、決勝の瞬間だったりする。
いい場面を、リアルタイムで、見ることができる。
あなたは、事前に知っていたわけではなかった。
たまたま、つけただけだった。
それも、一度や二度ではない。
事故の臨時ニュースも。
あなたの体の中に、臨時ニュースを受け止めるレーダーがあるに違いない。
あなたは、画面を見つめる。
それは、まるで、何かと交信をしているようだった。
あなたは、もはやテレビを見ていなかった。
その事故現場に、いた。
そして、感情移入していた。
こんな時、あなたは一人ひとりに、感情移入する。
パイロットだったら。
客室乗務員だったら。
乗客だったら。
消防隊員だったら。
今、できることはなにか。
今、するべきことはなにか。
それを考えている。
落ち込んでも、いない。
「なんで?」と憤慨しているわけでもない。
「誰が悪い?」と糾弾しているわけでもない。
情報がない中で、あらゆる状況を想定している。
見ている人ではない。
その場にいる当事者になっている。
あなたは、乗客の中で、パニックを抑える係りをしていた。
チーフパーサーのメンタルを、支えていた。
そして、脱出シューターの下で、降りてくる乗客の補助をする係をしていた。



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