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#983 高校生の顔に、なって。

あなたの高校生の顔が好き。
あなたと、ホテルでのパーティーに行った。
4階のパーティー会場に向かう途中、声をかけられた。
「すいません」
振り返ると、一人の男性がいた。
ファンの人だなと、私は思った。
こういうことは、よくある。
パーティーに参加する人であれば、あなたが来ることも、予想できる。
「握手して下さい」
これも、よくあること。
「写真、撮っていただいて、いいですか」
これもよくあること。
あなたは、感じよく、応じる。
「おしゃれですね」
その男性は、ほめた。
あなたは、女性だけでなく、男性にも愛される。
「今日は、どちらかのパーティーですか」
あなたは、聞いた。
そのホテルには、たくさんの宴会場がある。
あなたが向かう会場とは、別のフロアだった。
その男性が言ったのは、あなたと同じパーティーだった。
それなら、あなたに気づくのは、なおさら納得できた。
「お住いは、お近くですか」
そのパーティーは、全国から集まるパーティーだった。
「『世界一住みにくい家』に住んでます」
その男性は、不思議な答えをした。
「それって、もしかして……」
あなたは、あるアーティストの名前をあげた。
「あっ、ご存知ですか」
男性は、名刺を出した。
あなたも、名刺を出した。
その名刺を見て、男性が驚いた。
「高校時代から、本、読んでます」
男性は、あなたと知らずに、声をかけたのだった。
「本に、出会って、30分以内に声をかけないと、出会いにならないと書いてあったから」
男性は、あなたの言葉を、実行していた。
男性は、高校生の顔に、戻っていた。
あなたも、高校生の顔に、戻っていた。



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