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#986 上下左右が、なくなる。

あなたの宇宙空間感覚が好き。
あなたと、妖怪ハウスの中に来ている。
椅子は、半分、浮いている。
まるで、宇宙空間に漂っている気分。
妖怪さんが、お茶を入れてくれた。
熱かった。
球形の床の真ん中の一番低い所に、キッチンがある。
妖怪さんは、鍋で、ペットボトルのお茶を、温めてくれた。
ヤカンではなく、鍋という所が、味わい深い。
妖怪さんが、利休さんに見えてきた。
妖怪さんは、優しい。
そして、妖怪さんは、人間好き。
妖怪と、人間に、境目がない。
境目をつけているのは、人間。
境目には、上下関係がある。
神様も、妖怪も、不思議な存在であることに、かわりはない。
神様を拝んで、妖怪を拝まないのは、人間の側の都合に過ぎない。
善と悪の区別も、見る側からの勝手な都合だ。
だんだん、目が慣れてきた。
大きな球体の中に、小さな球体が、4つ入っている構造。
ここに、3人でルームシェアしているとのこと。
ものは、どこに置くか。
床に置くと、みんな一番低い所に集まってしまう。
そうか。
ものは、全て、天井から吊るされていた。
ディスカウントストアの仕組みだった。
化粧室を、お借りした。
ドアは?
ドアは、なかった。
カーテンがあるだけ。
音は?
音消しのための掃除機が、置かれていた。
気づいた。
ものは多いけど、清潔だった。
妖怪さんは、キレイ好きだった。
ここが、聖なる空間であることがわかってきた。
あなたと妖怪さんの笑い声が、聞こえてきた。
その笑い声に、知らない声も、混じっていた。
誰かいる。
そんなことも、ここでは、受け入れられる。



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