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#989 スナックの、ママのように。

あなたのスナックのママっぽさが好き。
あなたと、仏像展。
今日の仏像は、江戸時代の仏像。
今まで見てきた仏像と、イメージがだいぶ違う。
ひとことでいうと、優しい。
飛鳥時代の仏像は、クール。
平安時代の仏像は、厳しい。
鎌倉時代の仏像は、逞しい。
それに比べると、親しみやすい。
仏像が、こんなに笑っているなんて。
この仏様の微笑みは、どこかで見たことがある。
あなたの微笑み。
なんでも、受け入れてくれる微笑み。
飛鳥時代の仏像のアルカイック・スマイルは、謎めいている。
江戸時代の仏像の微笑みは、身近。
飛鳥仏が、高級クラブのママ。
江戸仏は、スナックのママ。
あなたの実家は、夜、スナックをしていた。
あなたのママが、スナックでは、みんなのママだった。
そんなDNAが、あなたの中に流れている。
江戸仏の中で、あなたがすっかり馴染んでいるのは、そのせい。
江戸時代の遊行僧は、宗派を持たず、所属寺院も持たなかった。
ありがたい教えを説くより、庶民の悩み相談をして、寄り添った。
あなたは、スナックをつがなかった。
けど、スナックのママの生き方を継いだ。
遊行僧は、お経のかわりに、和歌を詠んだ。
和歌は、当時の歌謡曲。
あなたが、和歌を解説してくれた。
いつものように、周りのカップルや親子が、あなたの話を聞いている。
音声ガイドを聞いている人まで、ついてくる。
学芸員さんも、注意するのではなく、そばによって、聞いていた。
あなたについて回る人は、解説を聞いているわけではなかった。
あなたの優しさを、味わっていた。
いつもの、私のように。



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